このコラムでは脳神経内科専門医が体調や健康に関する情報をわかりやすくお伝えします。
今回お伝えするのは「緊張型頭痛の原因について」です。
緊張型頭痛の原因とメカニズム|肩こりだけではない「慢性化」のしくみを脳神経内科専門医が解説
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この記事の要約 • 緊張型頭痛は、首や肩の筋肉のこわばりによる「痛みの悪循環」から始まります。 • 慢性化すると「中枢性感作」が加わり、脳が痛みに過敏な状態になります。 • ストレスや睡眠の乱れも誘因となるが、「気のせい」ではなく体のしくみの問題です。 |
緊張型頭痛の原因は「筋肉の緊張」だけではない
「緊張型頭痛」という名前から、筋肉の緊張だけが原因のように思われがちです。しかし実際のしくみは、もう少し複雑です。
とくに頭痛が長く続いている方では、筋肉だけでは説明のつかない変化が、体の中で起きています。
今回は、緊張型頭痛がどのように起こり、どうして慢性化していくのかを、順を追って見ていきましょう。しくみを知ることは、納得して治療に取り組むための第一歩になります。
きっかけは筋肉のこわばり|「痛みの悪循環」が生まれるしくみ
緊張型頭痛の最初のきっかけは、首・肩・後頭部の筋肉のこわばりです。長時間のデスクワーク、スマートフォンの使いすぎ、悪い姿勢、目の疲れなどでこれらの筋肉が緊張し続けると、次のような悪循環が生まれます。
- 筋肉がこわばる:持続的な筋肉の緊張で、筋肉が硬くなり血流が悪くなる
- 痛み物質が溜まる:血流の低下により、痛みのもとになる物質が筋肉に蓄積する
- 痛みが生じる:溜まった物質が筋肉や周囲の神経を刺激し、頭痛として感じられる
- さらに緊張する:痛みによって筋肉がいっそうこわばり、悪循環が続く
肩こりと頭痛がいつもセットで起こるのは、まさにこのしくみのためです。
慢性化のカギは「中枢性感作」|脳が痛みに過敏になる
ところが、頭痛が慢性化してくると、筋肉の問題だけでは説明がつかなくなります。ここで関わってくるのが、痛みを受け取る「脳の側」の変化です。
中枢性感作(ちゅうすうせいかんさ)とは、痛みの刺激が繰り返されることで、脳や脊髄の「痛みを感じる仕組み」そのものが過敏になってしまう状態です。こうなると、わずかな刺激でも強い痛みとして感じたり、本来は痛くないはずの刺激まで痛みとして受け取ってしまったりします。慢性緊張型頭痛では、この中枢性感作が大きく関わっていると考えられています。
つまり慢性化した緊張型頭痛は、「筋肉のこり」と「脳の過敏化」という2段階の変化によって起こります。
ストレス・自律神経・睡眠も関わる
精神的なストレスや疲労、睡眠の乱れも、緊張型頭痛と深く関わります。ストレスは無意識のうちに筋肉を緊張させるだけでなく、自律神経のバランスを乱して、痛みを感じやすい状態をつくります。
心と体の緊張は、私たちが思っている以上に密接につながっています。
まとめ|しくみを知ることが改善への第一歩
緊張型頭痛は非常に多くの方が経験する頭痛のタイプです。肩こりや首のこりが原因になり、デスクワークやスマートフォンを長時間使用する方に多くなっています。緊張型頭痛は繰り返していくうちに慢性化することがあり、慢性化した頭痛ほど、早めにしくみに沿った対処を始めることが大切です。長引く頭痛にお悩みの方は、お気軽に当院脳神経内科へご相談ください。
よくある質問(Q&A)
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Q. 筋肉のこりをほぐせば、緊張型頭痛は治りますか? A. 反復性のタイプでは、こりをほぐし誘因を減らすことで大きく改善することが多いです。ただし慢性化して脳が過敏になっている場合は、それだけでは不十分なことがあり、治療を組み合わせると効果的です。
A. 適切な治療やセルフケアで、過敏になった状態を和らげていくことは十分に可能です。早めに対処を始めるほど、改善しやすい傾向があります。
A. ストレスは大きな誘因のひとつですが、唯一の原因ではありません。筋肉のこわばりや姿勢、睡眠など、複数の要因が重なって起こります。ストレスだけのせいと決めつける必要はありません。
A. 緊張型頭痛は、画像検査で見える脳出血や脳腫瘍など「形の異常」ではなく、筋肉や脳の「働き方」の問題だからです。検査で異常がないことは、危険な病気が隠れていないという大切な安心材料でもあります。 |