今回お伝えするのは「てんかんの種類ついて」です。
てんかんの種類とは? 症状の特徴をわかりやすく解説
てんかんにはさまざまな種類があり、その原因や発作によって分類されています。
てんかん発作は「全身がけいれんするもの」というイメージがありますが、実際には数秒ぼうっとするだけの発作や手がピクッと動くだけの発作など、さまざまな種類があります。
本日は、てんかん発作の種類と症状の特徴を脳神経内科医専門医がわかりやすく解説し、発作の見分け方や記録のコツもお伝えします。
この記事の要約
- てんかん発作は「脳の一部から始まる発作(焦点起始発作)」と「脳全体で始まる発作(全般起始発作)」の2つに大きく分けられます。
- けいれんだけでなく、数秒ぼうっとする・手がピクッと動くなど、気づかれにくい発作も多くあります。
- 発作のタイプによって効きやすい薬が異なるため、家族の観察や動画記録をもとに正確に見極めることが治療の出発点です。
てんかん発作は「脳のどこから始まるか」で分かれる
てんかん発作の種類は、2017年に国際てんかん連盟によって整理され、現在は世界中の医師がこの分類を使って診療しています。
この分類で最も大切な考え方が、「脳のどこから電気信号の過剰な放電が始まるか」で発作を区別するという点です。脳の一部分から始まる発作を「焦点起始発作(しょうてんきしほっさ)」、脳全体で同時に始まる発作を「全般起始発作(ぜんぱんきしほっさ)」と呼びます。
この区別が大切な理由は、てんかん発作のタイプによって効きやすい薬が違うからです。
脳の一部から始まる発作(焦点起始発作)
脳の一部分から始まる発作です。電気の乱れが起こる場所によって症状が違い、電気の乱れが脳全体に広がるかどうかでも発作のあらわれ方が変わります。代表的な3つのパターンをご紹介します。
◆ 意識が保たれる発作
- 手や顔がピクピク動く、体の一部がしびれる、奇妙なにおいや味を感じる、といった症状が現れます
- 意識ははっきりしているため、本人は発作中のことを覚えています。周囲には気づかれにくい発作です
◆ 意識が低下する発作
- 呼びかけに反応しない、一点を見つめる、口をもぐもぐ動かす、手で衣服をまさぐるといった症状が現れます
- 本人は発作中のことを覚えていません。「ぼんやりしていただけ」と見過ごされやすい発作です
◆ 全身けいれんに広がる発作
- 脳の一部から始まった発作が全体に広がり、意識を失って全身が硬直し、ガクガクと震えます
- いわゆる典型的な発作のイメージですが、多くは1〜2分でおさまります
脳全体で同時に始まる発作(全般起始発作)
最初から脳全体で電気の乱れが起こる発作です。ほとんどの場合、発作の始まりから意識が失われます。代表的な4つのタイプをご紹介します。
◆ 強直間代発作(きょうちょくかんたいほっさ)
- 突然意識を失って倒れ、全身が硬くなった後、ガクガクと激しく震えます
- 最も激しいタイプの発作です。発作の後は深く眠ってしまうことが多くみられます
◆ 欠神発作(けっしんほっさ)
- 数秒から十数秒のあいだ突然動作が止まり、ぼうっと一点を見つめます
- 主に子どもに見られ、「集中力がない」「ぼんやりしている」と誤解されやすい発作です
◆ ミオクロニー発作
- 体の一部、または全身がピクッと一瞬だけ動きます
- 朝起きてすぐに起こることが多く、コップや箸を落とすといった形で気づかれることもあります
◆ 脱力発作(だつりょくほっさ)
- 急に体の力が抜けて、崩れ落ちるように倒れます
- 受け身が取れずに頭を打つなど、けがをしやすいため特に注意が必要です
このように、発作のタイプによって症状は異なります。激しいけいれんだけが発作ではなく、「数秒ぼうっとするだけ」「手がピクッと動くだけ」といった、ごく短く軽く見える症状もてんかん発作です。
こうした目立たない発作が見過ごされやすいため、「これがてんかん発作だった」と気づかないまま何年も過ごしてしまうケースも珍しくありません。
発作のタイプを見極めるために大切なこと
正確な診断のために何より大切なのが、発作の様子を詳しく知ることです。
しかし発作中のご本人は意識が低下していたり、覚えていなかったりすることが多く、ご自身では発作の様子を伝えられないことがほとんどです。そこで、ご家族による観察と記録が大きな手がかりになります。
家族に観察してほしい4つのポイント
- 発作はどのように始まったか(顔のひきつり、手のしびれ、いきなり倒れた など)
- 発作中の様子(目はどこを見ていたか、体のどこが動いていたか、呼びかけに反応したか)
- 発作はどれくらいの時間続いたか
- 発作の後の様子(すぐ会話できたか、ぼんやりしていたか、眠ってしまったか)
なぜ発作のタイプの把握が治療につながるのか
発作のタイプによって、効きやすい薬・避けたほうがよい薬が変わります。
てんかんの発作を抑える薬(抗てんかん薬)は多くの種類がありますが、治療の原則としてはできるだけ少ない種類、できれば1種類で発作を抑制していきます。そのためにはできるだけ効果が高く期待できる薬から使っていく必要があります。
効果があまりよくなかったり、副作用の問題で薬を変更する必要が出てくることはありますが、効果が出やすい薬から選択していくことが重要です。そのためにはてんかん発作のタイプを把握することが大切です。
当院では脳神経内科専門医が、発作の様子をじっくり伺い、お一人おひとりに最適な治療をご提案いたします。
「自分の発作のタイプが本当に合っているのか」「治療がうまくいっていないのでは」とお感じの方は、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. てんかん発作はけいれんだけですか?A. いいえ。数秒ぼうっとするだけの発作や、手がピクッと動くだけの発作など、けいれんを伴わない発作もたくさんあります。むしろ目立たない発作のほうが多く、見過ごされやすいのが特徴です。
Q. 発作のタイプはどうやって調べるのですか?
A. 医師による詳しい問診が基本です。ご家族や目撃者による発作の観察が診断の大きな手がかりになります。脳波やCT、MRIなどの検査も行います。
Q. 発作のタイプを知ることがなぜ大切なのですか?
A. 発作のタイプによって効きやすい薬が異なるためです。正確なタイプの把握が適切な治療の出発点になります。
Q. 発作の前兆(前触れ)はありますか?
A. ある方もいます。胃のあたりからこみ上げる感覚、奇妙なにおいや味、見慣れた場所が急によそよそしく感じるなどです。実はこれ自体が小さな発作のことも多く、前兆の内容は発作の始まる脳の場所を知る手がかりになります。
Q. 子どもがぼうっとすることが多いのですが、てんかんの可能性はありますか?
A. 可能性はあります。数秒間動作が止まりぼうっとする「欠神発作」は子どもに多く、「集中力がない」と誤解されやすい発作です。頻繁に見られる場合は一度ご相談ください。
Q. 寝ている間に発作が起きることはありますか?
A. あります。睡眠中だけに発作が起こるタイプのてんかんもあり、朝起きたときに舌を噛んだ痕がある、寝具が乱れている、体がひどくだるいといったサインで気づかれることがあります。