頭痛外来 HEADACHE

頭痛外来

一緒に頭痛を治していきましょう

当院は頭痛治療に積極的に取り組んでいます。
頭痛によって生活や仕事にも影響が出て悩んでいる方が多くいらっしゃいます。頭痛は目に見えないため、家庭や職場で頭痛の苦しみを理解してもらえず、つらい思いをしている方もいらっしゃいます。
当院では頭痛の原因に合わせた治療を行うことで、患者さんの悩みを解決していくお手伝いをしています。頭痛には片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛のほか、脳出血、脳腫瘍など多くの原因があります。まずは原因をつき止めることが重要です。
当院ではCTを即日撮影することができます。診察と検査結果から原因をつき止め、頭痛の原因に合わせた治療を行います。

主な頭痛の種類

片頭痛

【片頭痛の特徴】
強い頭痛となり、日常生活や仕事に影響してしまうことが多いです。痛みが始まってから30分から1時間くらいでピークに達し、痛みのため動くことがつらくなったり、寝込んでしまうくらいです。数時間から3日ほど続くことがあります。頭痛とともに吐き気も出やすいです。前兆としてキラキラとしたものが見えたり、首のあたりが張ったり違和感を感じることもあります。光や音、においに敏感になる場合もあります。
片頭痛は繰り返しやすい頭痛ですが、しっかりと治療をすると頭痛の頻度を抑えることや、頭痛の強さもやわらげられることが多いです。片頭痛かもと思ったら、お早めにご相談ください。

【片頭痛を起こしやすいきっかけ】
睡眠不足やストレス、天気の変化(低気圧)、気温の変化、アルコール、女性であれば月経周期の影響を受けやすいです。

【片頭痛の検査】
頭痛についてお話しをうかがうことと、CTで脳出血や脳腫瘍といった他の原因がないことを確認することが重要です。血液検査でも他の頭痛の原因となるものを調べたり、薬を安全に使用することができるか確認をします。

【片頭痛の治療】
日常生活では片頭痛を起こしやすい誘因を避けることが必要です。ただ気候や月経周期など避けられないものもあり、薬物治療も重要です。
片頭痛が出たときの治療と、片頭痛が出ないようにする予防治療があります。

片頭痛の鎮痛にはトリプタン系薬剤が有効です。スマトリプタン(イミグラン®︎)、リザトリプタン(マクサルト®︎)などがあり、ロキソプロフェンやアセトアミノフェンといった一般的な痛み止めよりも早く効くことが期待できます。前兆が出たり、痛み出したタイミングで内服するとより効果的です。トリプタン系薬剤は複数あり、それぞれ特徴や体質との相性もあるので医師と相談しながら、いちばん効果的な薬をみつけていきます。

またラスミジタン(レイボー®︎)という新しい片頭痛鎮痛剤も使えるようになりました。ラスミジタンは内服のタイミングが遅れて頭痛が強くなってからでも鎮痛効果を期待できます。お仕事などで片頭痛が出てもすぐに内服できない、トリプタン系薬剤が効きにくいといった場合はラスミジタンを試してみるといいでしょう。

片頭痛が繰り返し起こる場合は予防薬を使って片頭痛が出ることを抑えていきます。片頭痛発作が月2回以上出る場合は片頭痛が出ないように予防薬を使って治療します。予防薬にもロメリジン(ミグシス®︎)、プロプラノロール(インデラル®︎)、バルプロ酸(デパケン®︎)など複数の有効な薬剤があります。片頭痛の状態や体質、薬との相性を考えながら使っていきます。

これら内服の予防薬以外にも、注射製剤の予防薬を使えるようになりました。CGRP製剤と呼ばれ、内服薬を使うことができなかったり、効果が不十分といった場合に有効です。CGRP製剤については一部使用に制限がありますが、内服の予防薬で十分に片頭痛を予防できないといった患者さんも、予防効果を期待することができます。

片頭痛の患者さんの中にはなかなか病院を受診することができず、市販の鎮痛剤で対処しているうちに鎮痛剤を多く飲んでしまっている方がいます。月に10日から15日以上、鎮痛剤を飲んでいる場合は薬物乱用頭痛といって、鎮痛剤を飲むことでも頭痛が起きてしまう状態になっていることがあります。鎮痛剤を適切に管理し、予防薬を使って治療をしていく必要があります。

緊張型頭痛

【緊張型頭痛の特徴】
頭が圧迫されるような、しめつけられるような感じとなります。数十分から数日間も続くことあり、痛みは夕方に出やすい傾向があります。頭痛自体は軽い症状のこともありますが、鎮痛剤を飲んでもすっきりしないなど負担は大きいです。

【緊張型頭痛の原因】
首の姿勢の異常やストレスが原因で、肩こりや首のこりによって起こることが多いです。長時間のパソコン操作やデスクワーク、運転など同じ姿勢で作業することで首まわりの筋肉が固まってしまいます。中年以降に多い頭痛のタイプですが、近年はスマートフォンの普及もあり、幅広い年齢で増えている頭痛です。

【緊張型頭痛の検査】頭痛についてお話をうかがうことと、CTで脳出血や脳腫瘍といった他の原因がないことを確認し、首の骨(頸椎)の状態を調べます。血液検査でも他の頭痛の原因となるものを調べたり、薬を安全に使用することができるか確認をします。

【緊張型頭痛の治療】
肩こりや首のこりが原因のことが多く、ストレッチやマッサージは有効です。入浴も体温が上がることで血行がよくなり、筋肉のこりの解消に効果的です。痛みが強い場合はアセトアミノフェンやロキソプロフェンといった鎮痛剤を使用したり、エペリゾン(ミオナール®︎)、チザニジン(テルネリン®︎)といった筋弛緩薬を筋肉のこりの軽減に内服します。
ストレスが影響していることも多く、精神的・肉体的ストレスを取り除いていくことも目標になります。

群発頭痛

【群発頭痛の特徴】
群発頭痛は重度の左右一方の痛みが目の奥や周辺、側頭部に出現し、15分から3時間くらい続きます。痛みはきわめて強く、「目をえぐられるような」、「目を刺されるような」痛みと例えられるほどです。半年から数年ごとに、数週間から数か月にかけてはげしい痛みが続きます。2日に1回から1日8回程度までに及ぶことがあり、深夜から明け方にかけて痛みが出やすくなります。痛みが出る側の目は充血し、涙が出て、まぶたはむくんできます。鼻がつまる、鼻水がでることもあります。

【群発頭痛の検査】非常に強い頭痛であり、CTまたはMRIでくも膜下出血などを否定することは必要です。群発頭痛はその特徴から診断をつけることができ、問診や診察も重要です。薬剤の使用も必要になり、血液検査を行います。

【群発頭痛の治療】
薬剤を使ってしっかりと痛みを抑えることが必要です。群発頭痛に対してアセトアミノフェンやロキソプロフェンといった一般的な鎮痛剤は効果を期待できないため、スマトリプタン(イミグラン®︎)を中心に使用します。同時に予防薬もベラパミル(ワソラン®︎)、ステロイド、バルプロ酸(デパケン®︎)などを使用します。
アルコールは頭痛を起こしやすくするので、群発頭痛が起こっている時期(群発期)は飲酒を避ける必要があります。ヒスタミンやニトログリセリン(狭心症の薬)も群発頭痛を起こしやすくなると考えられています。

片頭痛予防薬
「CGRP製剤」

CGRP製剤が登場したことで片頭痛治療は大きく進化しました。従来の片頭痛予防薬では十分に頭痛をおさえることができなかった患者さんも、多くの方が片頭痛の頻度が減ったり、頭痛が軽くなったと実感してもらえるようになりました。
当院はエムガルティ®︎、アジョビ®️、アイモビーグ®︎を採用しており、いずれも注射製剤です。トリプタン製剤や、従来の予防薬を内服しても日常生活への支障が大きかった片頭痛の患者さんに使用することで、頭痛をへらして生活の質を改善することが期待されます。

CGRP製剤は以下の方が
対象となります
  • 片頭痛であると医師に診断されている
  • 片頭痛が過去3ヶ月にわたり、月に平均4日以上出現している
  • 片頭痛発作の急性期治療(鎮痛剤など)、ストレスの軽減や睡眠不足の改善など非薬物療法を適切に行なっても日常生活に支障をきたしている
  • 従来の片頭痛予防薬の効果が不十分、または副作用により継続が困難である
  • 15歳以上である
  • CTまたはMRIの画像検査、血液検査によってCGRP製剤の使用に問題がないことが確認されている

エムガルティ®︎

・オートインジェクターの構造

・オートインジェクターの使い方

・投与方法

エムガルティ®︎について
通院による注射、在宅自己注射のいずれかを選択できます。
自己注射できる方、毎月の通院がむつかしい方は在宅自己注射をおすすめします。

・エムガルティ®︎の効果

エムガルティ®︎の投与によって、6ヶ月までに頭痛の日数が平均4-5日減りました。

・自己注射に関するアンケート調査

主な副作用
  • 注射部位反応:注射した部位に赤み、かゆみ、痛み、腫れがあらわれることがあります。数日で消失します。
  • めまい
  • アレルギー反応:初回の投与時にあらわれることが多いです。全身のかゆみ、じんましんがあらわれることがあります。重篤な場合は、寒気、ふらつき、くちびるやまぶたなどの急な腫れ、のどのかゆみ、息苦しさ、動悸などがあらわれることがあります。

アジョビ®️

オートインジェクターについて
アジョビ®皮下注225mgオートインジェクターには、お薬があらかじめ充填されており、1回使い切りです。
投与間隔
通院での4週間に1回1本注射、または12週間に1回3本注射、もしくは在宅での4週間に1回1本自己注射(オートインジェクターのみ)が選択でき、ライフスタイルに合わせたスケジュールで治療ができます。
※「12週間に1回、3本注射」による在宅自己注射は選択できません。
投与の流れ
1 注射部位を決めます
注射できる部位は、腹部、大腿部、上腕部です。腹部と大腿部はご自身で注射しやすいです。
※へその周り5cm以内は避けてください。

皮膚が敏感なところ、傷や圧痛、
赤みがあるところ、
傷痕や妊娠線などで
硬くなっているところには
注射しないでください。

2 注射部位を消毒します
注射部位とその周囲を消毒綿で消毒してください。消毒した場所は注射するまで触らず、乾かすために10秒程度待ちます。
3 キャップをはずします
半透明のキャップをまっすぐに引き抜きます。
外したキャップは家庭ごみとして捨ててください。
・一度外したキャップは、はめ直さないでください。
・注射針に触れないでください。
4 注射をします
①青色の針カバーを注射部位に対して直角(90度)に押し当てます。
確認窓が見えるように持ってください。
②そのまままっすぐ押し下げ、右記の一連の流れを終えるまで押し当てたまま動かさないでください。
必ず、確認窓を見て、灰色のゴム栓が完全に下がり、確認窓が青くなっていたら注射完了です。
注射部位からまっすぐ引き抜きます。
注射針は針カバー内に戻ります。
④注射部位を新しい消毒綿で数秒間ほど軽く押さえます。
消毒綿を離し、注射部位から血が出ていないことを確認して終了です。
注射部位には必要に応じてばんそうこうを貼ってください。
5 注射のあとに:
オートインジェクターの廃棄
使用済みのオートインジェクターは、医師、看護師または薬剤師の指示に従って廃棄してください。使用済みのオートインジェクターは、医療機関でお薬と一緒に受け取った専用廃棄袋に入れ、子どもの手の届かない場所に保管してください。
専用廃棄袋には使用済みのオートインジェクターが3本入ります。
使用済みの消毒綿は、特に指示がない限り家庭ごみとして捨ててください。外したキャップは、はめ直さず家庭ごみとして捨ててください。
主な副作用
  • 注射部位反応:注射した部位に赤み、かゆみ、痛み、腫れがあらわれることがあります。数日で消失します。
  • アレルギー反応:初回の投与時にあらわれることが多いです。全身のかゆみ、じんましんがあらわれることが  あります。重篤な場合は、寒気、ふらつき、くちびるやまぶたなどの急な腫れ、のどのかゆみ、息苦しさ、動悸などがあらわれることがあります。

アイモビーグ®︎

投与間隔
アイモビーグ®︎は、4週間に1回の間隔で、1回1本を投与します。
投与予定日に投与できなかった場合は、可能な限り速やかに 投与を行い、以降はその投与日を起点として4週間に1回の間隔で投与を行います。
投与方法
初回、2回目は院内で投与します。
3回目以降は、在宅で自己注射が可能です。
主な副作用
  • 注射部位反応 (2.9%):注射した部位に赤み、かゆみ、痛み、腫れがあらわれることがあります。数日で消失します。
  • 便秘 (1.9%):便秘の症状があらわれることがあります。吐き気、嘔吐、腹痛があらわれたらすぐにご相談ください。
  • 眠気 (1.1%):投与後に眠くなることがあります。車の運転や機械の操作、高所での作業などを行う場合は十分注意してください。
  • アレルギー反応:初回の投与時にあらわれることが多いです。全身のかゆみ、じんましんがあらわれることがあります。重篤な場合は、寒気、ふらつき、くちびるやまぶたなどの急な腫れ、のどのかゆみ、息苦しさ、動悸などがあらわれることがあります。