今回お伝えするのは「抗てんかん薬について」です。
抗てんかん薬とは? 抗てんかん薬の全体像ををわかりやすく解説
てんかんの治療は、抗てんかん薬を毎日飲み続けることが基本です。「なぜ薬で発作が止まるのか」「自分の薬はどんな種類なのか」「どうやって薬が選ばれるのか」——この記事では、抗てんかん薬の治療について全体像を脳神経内科専門医がわかりやすく解説します。
【この記事の要約】
- てんかん治療の中心は抗てんかん薬を飲み、発作を予防することです。
- 抗てんかん薬には従来薬と新規薬があります。新しい薬が優れているとは限らず、発作のタイプや生活状況に合った薬を選ぶことが大切です。
- 発作が止まっても自己判断で薬をやめることは危険です。疑問や不安は我慢せず主治医に相談しましょう。
なぜ抗てんかん薬で発作が止まるのか
てんかん発作は、脳の中で神経細胞に過剰な電気的興奮が起こることで生じます。抗てんかん薬は、この過剰な興奮を起こりにくくしたり、起こっても広がらないようにしたりする働きを持っています。
神経細胞が興奮しすぎないようブレーキをかける、興奮を伝える物質の働きを抑えるなど、薬によって異なる仕組みで発作を抑えています。
ここで大切なことは、抗てんかん薬は発作が起きたときに飲んで止める薬ではなく、「発作を起こさないように毎日飲み続ける薬」だという点です。
頭痛薬のように症状が出てから飲むのではなく、毎日決まった時間に決まった量を飲み続けることで、血液中の薬の濃度を一定に保ち、発作が起こりにくい状態を維持します。
抗てんかん薬の種類——「従来薬」と「新規薬」
抗てんかん薬は、開発された時期によって大きく2つに分けられます。1990年代までに開発された「従来薬」(バルプロ酸、カルバマゼピンなど)は、長い使用実績があります。
一方、2000年以降に登場した「新規薬」(レベチラセタム、ラモトリギンなど)は、従来薬と比べて副作用が比較的少なく、他の薬との飲み合わせの問題も起こりにくいことが特徴です。
ただし新しい薬のほうが優れているというわけではありません。従来薬にも長所があり、てんかんのタイプによっては従来薬のほうがよく効くこともあります。大切なことは、その方の発作のタイプ、年齢、性別、生活状況、他の病気の有無などを総合的に判断して、最適な薬を選ぶことです。
薬の選び方——まずは1種類から
初めて治療を始めるとき、まずは1種類の薬を少量から始めるのが基本です。
少量から始めて副作用の出方を確認しながら、ゆっくり量を増やし、発作が抑えられて副作用が問題ないところで維持します。この最初の1剤で、およそ半数の方は発作が止まります。
効果が不十分であれば、別の薬に切り替えるか、2剤目を追加して調整していきます。お薬の選択にあたっては、発作のタイプ、年齢、性別、妊娠の希望の有無、肝臓や腎臓の状態、他に飲んでいる薬、お仕事の内容、生活リズムなど、たくさんの要素を考慮します。これらをすべて踏まえて最適な選択肢を提案するのが、専門医の役割です。
自己判断で薬をやめてはいけない
抗てんかん薬は長期間飲み続ける必要があります。発作が止まったからといって、自己判断で薬をやめてしまうのは大変危険です。
急にやめると発作が再発するだけでなく、激しい発作が連続して起こるてんかん重積という危険な状態を招くこともあります。
何年も発作が起きていない場合、医師の判断で薬を少しずつ減らしていくこともありますが、これは慎重な検討と段階的な減量が必要です。
「いつまで飲むのか」「副作用は大丈夫か」「薬を減らせないか」——こうした疑問は我慢せず、主治医にお伝えください。患者さんの状況に応じて、薬の調整は十分に可能です。
よくある質問(FAQ)
Q. 抗てんかん薬はいつまで飲み続けるのですか?A. 多くの場合、長期間の服用が必要です。ただし、何年も発作が起きていない場合は、医師の判断で少しずつ減らしていくこともあります。自己判断での中止は危険なので、必ず主治医と相談してください。
Q. 新しい薬のほうが効果は高いのですか?
A. 必ずしもそうではありません。新規薬は副作用が比較的少ない傾向がありますが、効果は薬と発作タイプの相性によります。従来薬のほうがよく効くこともあり、その方に合った薬を選ぶことが大切です。
Q. 市販薬やサプリメントと一緒に飲んでも大丈夫ですか?
A. 組み合わせによっては、抗てんかん薬の効き方に影響することがあります。市販の風邪薬やサプリメントを使う前に、主治医や薬剤師に飲み合わせを確認していただくと安心です。
当院では脳神経内科専門医が、お一人おひとりの発作のタイプ、生活状況、ライフプランに合わせた薬の選択をご提案いたします。てんかんの治療についてお気軽にご相談ください。