このコラムでは脳神経内科専門医が体調や健康に関する情報をわかりやすくお伝えします。
今回お伝えするのは「頭痛でのクリニック受診について」です。
その頭痛、我慢していませんか?
― 頭痛が奪うもの、受診で得られるもの ―
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この記事の要約 頭痛は「いつものこと」と我慢されがちですが、実は仕事や家事、家族と過ごす時間の質を静かに削り続けています。この記事では、頭痛が日常生活に与える影響の大きさと、医療機関を受診して検査、治療を受けることで得られる3つのメリットを、脳神経内科専門医がわかりやすく解説します。 |
「たかが頭痛」と思っていませんか
「いつもの頭痛だから」「薬を飲めばなんとかなるから」――そう自分に言い聞かせて、痛みをやり過ごしている方は少なくありません。日本では成人のおよそ3〜4人に1人が慢性的な頭痛を抱えているとされ、頭痛はもっとも身近な不調のひとつです。
しかし、この「身近さ」が落とし穴です。当たり前の存在になっているために、頭痛が生活に与えている影響の大きさは、しばしば見過ごされてしまいます。
頭痛が静かに奪っているもの
頭痛のつらさは、痛みそのものだけではありません。痛みがあると集中力が落ち、仕事の効率は確実に下がります。頭痛による生産性の低下は、社会全体でも大きな経済的損失につながることが知られています。
家庭でも同じです。頭が痛い日は家事が思うように進まず、お子さんやご家族と向き合う心の余裕も失われます。楽しみにしていた趣味や運動も「今日はやめておこう」となりがちです。こうして「痛みに振り回される一日」が積み重なり、頭痛はあなたの時間と気力を、少しずつ奪っていくのです。
我慢の先にある3つの落とし穴
頭痛を我慢し続けることには、見過ごせないリスクがあります。
第一は「慢性化」です。最初は月に数回だった頭痛が、適切に対処しないうちに頻度を増し、気がつくと毎日のように痛む状態へ進んでしまうことがあります。
第二は「鎮痛薬の使いすぎ」です。痛むたびに市販薬を飲む習慣が続くと、かえって頭痛が起こりやすくなる「薬剤の使用過多による頭痛」に陥ることがあります。薬で抑えているつもりが、いつのまにか薬が頭痛を呼んでいる――そんな悪循環です。
そして第三に、最も注意したいのが「危険な病気の見逃し」です。頭痛の中には、くも膜下出血や脳腫瘍など、命に関わる病気が隠れていることがまれにあります。「いつもの頭痛」と思い込んで様子を見ているうちに、治療のタイミングを逃してしまう――これだけは、絶対に避けなければなりません。
クリニックを受診する3つのメリット
- 正しい診断がつく――頭痛の原因がわかれば、対処法も予防法もはっきりします。
- 適切な治療につながる――頭痛のタイプごとに、効果的な薬や予防法があります。「鎮痛薬しかない」と思っていた方ほど、選択肢の広さに驚かれます。
- 何より「安心」が得られる――検査で大きな異常がないと確認できることは、頭痛と上手に付き合っていくうえで、何よりの心の支えになります。
CT・MRI検査でわかること
頭痛診療の基本は、問診です。そのうえで必要と判断した場合に、検査を行います。
頭部CTやMRIは、くも膜下出血・脳出血・脳腫瘍といった命に関わる病気を見つけ出すための重要な検査です。とくに「突然の激しい頭痛」「これまで経験したことのない頭痛」「手足のしびれや言葉の出にくさを伴う頭痛」では、まずこうした危険な病気がないかを確認します。慢性的な頭痛がある方も、検査を受けたことがない場合は検査を受けた方がよいです。
そして忘れてはならないのは、検査は「異常を見つける」ためだけでなく、「異常がないと確認する」ためにも行うということです。画像で問題がないとわかれば、それはひとつの安心材料になります。
迷ったら、まずご相談を
頭痛には、ご本人にしかわからないつらさがあります。「この程度で受診していいのだろうか」と迷う方こそ、ぜひ一度ご相談ください。その一歩が、安心にも、病気の早期発見にもつながります。
最後に、日常の診療でよくいただく質問についてお答えします。
よくある質問(Q&A)
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Q. 頭痛くらいで受診してもよいのでしょうか? A. もちろんです。むしろ、長く頭痛とお付き合いされている方ほど、一度きちんと受診もらう価値があります。受診は決して大げさなことではありません。
A. 薬ですぐに治まるなら様子を見てよいかもしれません。ただし、ふだん頭痛がない方が頭痛を自覚した、もともと頭痛がある方でもふだんと痛み方がちがう、頭痛を繰り返している、鎮痛薬を月に10日以上飲んでいる、以前より効きが悪くなってきた、などという場合はせひご相談ください。薬の使いすぎが、新たな頭痛を招くことがあります。
A. 脳神経内科、または頭痛外来がおすすめです。頭痛を専門的に診て、必要な検査から治療までを一貫して行うことができます。 |