今回お伝えするのは「脳卒中後てんかんについて」です。
脳卒中後てんかんとは? 脳卒中後の発作を解説
脳梗塞や脳出血を乗り越えてリハビリテーションに取り組んでいる方、そしてそれを支えるご家族にとって、「また倒れたらどうしよう」という不安は常につきまとうものです。脳卒中の再発だけでなく、てんかんの合併にも注意が必要です。
今回は、脳卒中後てんかんの症状、治療について、脳神経内科医専門医がわかりやすく解説します。
【この記事の要約】
- 脳卒中(脳梗塞・脳出血、くも膜下出血)はてんかんの原因になることがあり、脳卒中を経験した方の数%〜10%程度が後にてんかんを発症するとされています。
- 脳卒中後てんかんは、抗てんかん薬が有効であることが多いです。脳卒中の再発予防薬との飲み合わせに配慮した抗てんか薬を選択することが重要です。
- てんかんを合併した場合は、しっかりと治療を行うことが生活の質を守るためにも重要です。
脳卒中後てんかんとは
脳卒中後てんかんとは、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳卒中をきっかけに、その後てんかん発作を繰り返すようになる状態です。
脳卒中を経験した方のうち、てんかんを発症するのは数%から10%程度とされています。脳卒中をおこされえた方とご家族には、ぜひ知っておいていただきたい合併症です。
発症の時期には特徴があります。脳卒中の直後(おおむね1週間以内)に起こる発作は早期発作と呼ばれ、急性期の脳のダメージによる一時的な反応で、必ずしもてんかんとは診断されません。
一方、脳卒中を発症してから、数か月以上経過して起こる発作は晩期発作と呼ばれ、これが繰り返される状態が脳卒中後てんかんです。退院してリハビリテーションも落ち着き、生活が安定してきた頃に初めての発作が起こることも珍しくありません。
てんかんの症状について
脳卒中後てんかんの発作は、脳卒中で傷ついた場所から始まる焦点起始発作です。
そのため症状は病変の場所によってさまざまで、麻痺のある側の手足がけいれんする・ぴくぴく動く、片側の手足や顔のしびれ、言葉が急に出なくなる、といった症状が代表的です。発作が脳全体に広がれば、意識を失って全身がけいれんする発作になることもあります。
治療について
脳卒中後てんかんは、比較的少ない量の抗てんかん薬で発作を抑えられることが多いです。
しかし、脳卒中後のてんかん発作は繰り返しやすいことが分かっているため、発作が1回でも起これば治療を開始することが一般的です。
脳卒中後の患者さんは、再発予防のために複数の薬を飲んでいることがほとんどです。薬が増えることが心配という方も多いのですが、てんかん発作を放置すれば転倒によるけがや、発作中の誤嚥など、より大きなリスクにつながります。飲み合わせと副作用に配慮した薬選びこそ、脳神経内科の専門領域です。
リハビリテーションと生活を守るために
てんかんを発症しても、リハビリテーションを諦める必要はまったくありません。むしろ、薬で発作をしっかり抑えることが、安心してリハビリテーションを続けるための土台になります。
発作への不安から活動を控えてしまうと、体力や機能の低下を招き、かえって生活の質を損ないます。
当院では、脳卒中を経験された患者さんのてんかん診療に力を入れています。「退院後にけいれんが起きて不安」「ぼんやりする症状が再発なのかてんかんなのか分からない」「他の薬との飲み合わせが心配」——こうしたご相談を歓迎しております。脳卒中とてんかんの両方を診られる脳神経内科の専門医として、再発予防と発作の治療を行ってまいります。
よくある質問(FAQ)
A. 脳卒中後のてんかん発作は繰り返す可能性が高いことが分かっているため、1回でも治療を開始するのが一般的です。早めに発作を抑えることが、けがや生活への影響を防ぎます。
Q. 血液をサラサラにする薬と抗てんかん薬は一緒に飲めますか?
A. 飲むことができます。飲み合わせの心配が少ない薬を優先的に選ぶことが重要です。
Q. 発作の後、麻痺が急にひどくなりました。再発でしょうか?