てんかんと月経の関係について|一宮市の脳神経内科|あたまと内科のうえだクリニック

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てんかんと月経の関係について

このコラムでは脳神経内科専門医が体調や健康に関する情報をわかりやすくお伝えします。
今回お伝えするのは「てんかんと月経の関係について」です。

てんかんと月経の関係 | 結婚・妊娠を考える女性へ


月経の前になると発作が増える気がする、薬を飲み続けて妊娠して大丈夫だろうか——女性のてんかん患者さんは、ライフサイクルの中でさまざまな不安と向き合います。今回は、月経とてんかんの関係、ピルを使うときの注意、そして結婚や妊娠を考え始めたときに知っておきたいことを、脳神経内科医専門医がわかりやすく解説します。


【この記事の要約】

  • てんかんのある女性は3人のうち2人が月経期に発作が増えると感じており、これは女性ホルモンの変動によることがあります。
  • 一部の抗てんかん薬はピルの効果を弱め、ピルが薬の血中濃度を下げることもあります。
  • 妊娠を考え始めたら早めに主治医に相談をしてください。妊娠前からの準備が安全な妊娠・出産につながります。

 

月経と発作——多くの女性が感じている関係

「生理の前になると発作が増える気がする」——女性のてんかん患者さんから、こうしたお話をよく伺います。
実際に、てんかんのある女性の3人のうち2人の方が、月経期に発作が増えると報告されています。


これには女性ホルモンが深く関わっています。女性ホルモンのうち、エストロゲンは神経細胞を興奮させやすくする方向に、プロゲステロンは興奮を抑える方向に働きます。
月経の直前から月経中にかけてプロゲステロンが急に低下するため、このタイミングで発作が増えやすくなるとされています。


月経てんかんという考え方

月経の時期に発作が他の時期の2倍以上に増える状態を「月経てんかん」と呼びます。
女性のてんかん患者さん全体では5%程度といわれていますが、月経期に多少なりとも発作が増える女性まで含めると、その割合はもっと高くなります。


月経てんかんが疑われる場合、月経の時期だけ抗てんかん薬の量を一時的に増やす、月経前後の数日だけ別の薬を追加するなどの対応をすることがあります。
月経の話題を診察で切り出すのは少し躊躇されるかもしれませんが、治療の精度を上げる大切な情報です。

ピル(経口避妊薬)を使うときの注意

月経痛の緩和や避妊などの目的で低用量ピルを使う女性も多くいます。てんかんとピルの関係は、知っておいていただきたい重要なテーマです。

 

◆ 抗てんかん薬がピルの効果を弱めてしまう場合

カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、高用量のトピラマートなどは、ピルに含まれるホルモンの分解を速めてしまいます。
その結果、ピルの避妊効果が十分に得られないことがあります。避妊を目的にピルを使っている方にとっては、意図しない妊娠につながりかねない重要な問題です。
この場合、ピルの種類や量の変更、あるいは別の避妊方法の検討が必要になります。

◆ ピルが抗てんかん薬の効きを弱めてしまう場合

ラモトリギンを服用している方がピルを使い始めると、ラモトリギンの血中濃度が下がり、それまで抑えられていた発作が起こりやすくなる可能性があります。
この場合は、ピルの使用に合わせて抗てんかん薬の量を調整することがあります。
また、ピルを休薬する期間には血中濃度が逆に上がることもあるため、開始も中止も主治医と相談しながら進めることが大切です。

 

このように、薬の組み合わせによって避妊効果が弱まったり、発作のリスクが上がったりすることがあります。ピルの使用をお考えの場合、あるいはすでに使用されている場合は、必ず主治医にお伝えください。婦人科でピルを処方してもらう際にも、てんかんの治療中であることと服用中の薬を伝えていただくと、安全な選択ができます。

結婚を考えはじめたら

結婚を意識し始めると、「パートナーにてんかんのことを伝えるべきか」「いつ伝えるべきか」と悩まれる方も多いと思います。これには、決まった正解はありません。
ただ、お伝えしておきたいのは、てんかんは隠さなければならない病気ではないということです。

てんかんは100人に1人におこるとされる身近な病気で、適切な治療を受けていれば多くの方が問題なく生活を送ることができます。結婚生活、家事、お仕事、出産、子育て——どれもあきらめる必要はありません。信頼できるパートナーに正確な情報とともに伝えることで、理解を得られることがほとんどです。

 

妊娠を考え始めたら「準備」が大切

結婚や将来の妊娠を考え始めたら、ぜひ早めに主治医にお伝えいただきたいと思います。てんかん治療では妊娠を見据えた準備期間が大切です。

 

なぜ妊娠前の準備が大切なのか。それは、抗てんかん薬の中には胎児への影響が比較的高いものと低いものがあり、薬の見直しや調整には時間がかかるからです。
妊娠が分かってから慌てて薬を変えることは、リスクの高い対応です。妊娠を計画的に考えることで、より安全な薬への切り替え、適切な量への調整、葉酸の補充、発作のコントロールの確認を、余裕を持って進めることができます。

 

当院では、女性のてんかん患者さんのライフステージに応じた治療を大切にしています。「月経の時期に発作が増えるのが気になる」「将来の結婚や妊娠を考えて治療を見直したい」——こうしたご相談を、診察時にぜひお聞かせください。脳神経内科の専門医が、お一人おひとりの人生に寄り添った治療をご提案いたします。


よくある質問(FAQ)

Q. てんかんでもピルは使えますか?
A. 使える場合が多いですが、一部の抗てんかん薬はピルの効果を弱めたり、ピルが薬の血中濃度を下げたりします。必ず主治医に相談し、薬の組み合わせを確認してください。

Q. 妊娠を考えています。いつ相談すればいいですか?

A. 妊娠を考え始めた時点で、できるだけ早く相談してください。薬の見直しには時間がかかるため、妊娠が分かってからではなく、計画的な準備が安全な妊娠・出産につながります。

Q. 月経痛の鎮痛剤は飲んでも大丈夫ですか?

A. 多くの鎮痛剤は問題なく併用できますが、薬の組み合わせによっては抗てんかん薬の効き方に影響することがあります。日常的に使う鎮痛剤は、一度主治医や薬剤師に飲み合わせを確認しておくと安心です。

Q. 更年期になると発作は変わりますか?
A. 変わる方もいます。更年期には女性ホルモンが大きく変動するため、一時的に発作が増える方がいる一方、閉経後にホルモン変動が落ち着くと発作が安定する方もいます。