てんかん治療と仕事の両立について|一宮市の脳神経内科|あたまと内科のうえだクリニック

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てんかん治療と仕事の両立について

このコラムでは脳神経内科専門医が体調や健康に関する情報をわかりやすくお伝えします。
今回お伝えするのは「てんかん治療と仕事の両立について」です。

てんかん治療と仕事の両立 働き方と使える制度を解説


「てんかんになったら、仕事は続けられないのではないか」——そんな不安を抱えていませんか?
実は、てんかんがあっても多くの方が働いて活躍されています。今回は、仕事と治療を両立させるための考え方、職場への開示の判断、利用できる制度を、脳神経内科医専門医がわかりやすく解説します。


【この記事の要約】

  • てんかんがあっても、発作が安定してコントロールされていれば多くの仕事はこれまで通り続けられます。
  • 会社への病気の開示は法律上の義務ではなく、伝えるかどうか・誰にどこまで伝えるかは自分で選ぶことができます。
  • 自立支援医療・精神障害者健康福祉手帳などの公的制度があり、主治医・職場・公的機関の活用が両立の鍵です。

 

 

てんかんがあっても働き続けられる

てんかんがあっても、多くの方が働いて活躍されています。
会社員、公務員、医療従事者、教育関係者、IT技術者、研究者、経営者、農業関係者など、あらゆる職種で、てんかんとともに第一線でお仕事を続けていらっしゃる方がいます。


転換治療と仕事を両立させるために最も大切なことは、発作をしっかり抑えることです。
発作が安定してコントロールされていれば、ほとんどのお仕事はこれまで通り続けることが可能です。そのためには、ご自身の発作タイプに合った薬を規則正しく服用すること、十分な睡眠・過度な飲酒を避けるなどの生活の工夫が欠かせません。

働き盛りの方ほど忙しさで睡眠を削りがちですが、発作の誘因を除くように意識した生活リズムが、結果的にお仕事のパフォーマンスを安定させることにもつながります。


職場に伝えるかどうかは自分で決めていい

「会社にてんかんのことを伝えるべきか」——これは多くの患者さんが悩まれる問題です。
結論からお伝えすると、これに正解はありません。法律上、病気を会社に伝える義務はありません。発作のコントロールが良好でお仕事に支障がない方であれば、伝えないという選択も十分にあり得ます。


ただし、業務中に発作が起こる可能性がゼロでない場合は、信頼できる上司や同僚に伝えておくと、いざというときに落ち着いた対応をしてもらえます。また、業務中に車を運転する必要がある場合は、業務内容の変更を上司と相談する必要があります。

定期的な通院や服薬への配慮を求めるには、状況をある程度伝えておくことが現実的です。伝える場合も、直属の上司だけ、人事担当者だけ、産業医だけなど、誰にどこまで伝えるかは選択できます。

伝え方に迷われる場合は、産業医のいる職場であれば、まず産業医に相談するという方法が現実的です。
産業医には守秘義務があり、本人の同意なく病名を職場に伝えることはありません。そのうえで、業務上必要な配慮だけを会社に伝えてもらうこともできます。


合理的配慮を知っておく

職場に病気を伝える選択をされた場合、知っておいていただきたいのが「合理的配慮」という考え方です。
これは、病気や障害のある方が働きやすい環境を整えるために、事業主が必要な配慮を行うことを定めた制度です。


月一度の通院日に有給休暇を取りやすくしてもらう、夜勤や深夜残業の負担を軽くしてもらう、といった配慮を求めることができます。
特別扱いを求めるのは申し訳ないと感じる必要はありません。これは認められた権利です。

利用できる制度を知る

てんかんの患者さんが利用できる主な制度をご紹介します。すべての方がすべての制度を使うわけではありませんが、選択肢として知っておくと安心です。


◆ 自立支援医療(精神通院医療)——医療費の負担を軽くする

働く世代の方にとって、特に多くのメリットがあるのがこの制度です。外来でのてんかん治療にかかる医療費の自己負担が、原則1割に軽減されます。所得に応じた月額の上限も設けられているため、継続的に通院・服薬が必要な方の長期的な負担を大きく減らせます。
てんかんを治療しているクリニックや病院であれば登録が可能で、お住まいの市区町村の窓口で申請します。診断書が必要になりますので、まずは主治医にご相談ください。

◆ 精神障害者保健福祉手帳——税の控除や就労の選択肢

てんかんは、この手帳の対象となる疾患です。取得すると、税金の控除・減免、公共料金の割引、障害者雇用枠での就労といった選択肢が広がります。
申請には初診から6か月以上経過していることなどの条件があるため、選択肢となるかどうかは主治医にご相談ください。取得は義務ではなく、必要と感じたときに検討すればよいものです。

 

◆ 就労支援機関——相談から職場定着まで

ハローワークの障害者向け窓口や、各都道府県に設置されている「障害者就業・生活支援センター」では、就労相談、職業紹介、就職後の職場定着支援まで一体的に受けられます。
無料で利用でき、就職前だけでなく「今の職場で働き続けるための相談」にも応じてもらえます。

転職・キャリアチェンジを考えるとき

「現在の仕事を続けるのが難しい」「もっと自分に合う働き方を見つけたい」という方には、前述の就労支援機関が力になります。障害のある方の就労事情に詳しい相談員が、ご自身の状況に合った働き方を一緒に考えてくれます。

障害者雇用枠での就労という選択肢もあります。「働き方が制限される」というイメージを持たれるかもしれませんが、近年は管理職や専門職での障害者雇用も広がっており、キャリアの選択肢として前向きに検討する価値があります。

仕事のパフォーマンスを保つために

お仕事を続けながらてんかん治療と付き合っていくためのポイントをお伝えします。
第一に、薬の副作用への配慮です。眠気や集中力の低下がお仕事に影響している場合、がまんせず主治医にご相談ください。薬の量や種類の見直しで、副作用を軽くしながら発作のコントロールを保つことを目指します。
第二に、規則正しい生活リズムを優先すること。休むときはしっかり休むことが、プロとしての健康管理です。
第三に、お仕事の内容を主治医にも共有することです。職種や勤務時間、出張の頻度を主治医が知っていれば、「眠気の少ない薬」といった配慮も含めた治療をご提案できます。


よくある質問(FAQ)

Q. てんかんを職場に伝える義務はありますか?
A. 法律上の義務はありません。伝えるかどうかはご自身で選べます。業務中の発作の可能性や通院への配慮が必要な場合は、信頼できる上司などに伝えておくと安心です。

Q. 就職活動の面接で、てんかんのことを伝える必要はありますか?

A. 応募時や面接で病気を申告する法律上の義務はありません。ただし、業務に直接関わる場合(運転業務、高所作業などの危険業務など)は正直に伝える必要があります。入社後の配慮を受けたい場合は、内定後に人事や産業医に相談する方法もあります。

Q. てんかんだと就けない仕事はありますか?

A. 一律に就けない仕事はほとんどありません。ただし、大型免許・第2種免許が必要な職業(バス・タクシー・トラック運転手など)は、無投薬で5年以上発作がないことが原則となるため、服薬中の方には難しいのが現状です

Q. 残業や夜勤は避けたほうがいいですか?

A. 睡眠不足は発作を誘因することが多いため、夜勤や徹夜を伴う働き方はできれば避けたいところです。やむを得ない場合は、勤務パターンを主治医に伝え、薬の飲み方や生活の工夫を一緒に考えていきましょう。

 

当院では、お仕事をされている患者さんの状況に合わせた治療をご提案しています。「副作用で仕事のパフォーマンスが落ちている」「職場での配慮について相談したい」——こうしたお悩みも、診察時にどうぞお話しください。脳神経内科専門医が、お一人おひとりの働き方に寄り添った治療を心がけています。