片頭痛と食べ物の本当の関係
「片頭痛持ちはチーズもチョコもダメ」とよく言われますが、それ、本当でしょうか?普段の食事を必要以上に制限していませんか。
食べ物が片頭痛の引き金になることはあります。
食べ物が片頭痛のトリガー(引き金)になることは、確かにあります。しかし大切なのは、すべての人に当てはまるわけではない、という点です。
ある人にとって頭痛を起こす食品が、別の人にはまったく影響しないことが珍しくありません。同じものを食べても、頭痛になる日とならない日があるのは、複数のトリガーが重なったときにはじめて発作が起きやすくなるためです。
ここでは、日本人の食卓に身近で頻度の高い食品を中心に、片頭痛との関係を整理してみましょう。
注意したい食品成分と、身近な食材
①チラミン——発酵食品に多く含まれる
チラミンは血管を一時的に収縮させ、その後の拡張時に頭痛を起こすと考えられている物質です。熟成・発酵食品に多く含まれます。
身近な食品例:
- 熟成チーズ(特にブルーチーズ、カマンベール、パルメザンなど)
- チョコレート(特にカカオ濃度の高いもの)
- 赤ワイン
- 納豆、味噌、醤油、漬物(日本人の食卓に欠かせない発酵食品)
「和食中心の生活なのに頭痛が多い」という方は、味噌や醤油のチラミンにも目を向けてみる価値があります。
②ヒスタミン——赤ワインで頭痛が起きる方は要注意
ヒスタミンは血管を拡張し、三叉神経を刺激します。赤ワインは白ワインに比べて頭痛を起こしやすいことが知られていますが、これにはヒスタミン含有量の差が関係しています。
身近な食品例:赤ワイン、青魚(マグロ・カツオなど傷みかけのもの)、トマト、ほうれん草、なす
「ワインを飲むと必ず頭痛になる」という方は、白ワインでも症状が出るかを観察してみると、自分に合うお酒を見つけるヒントになります。
③アルコール
アルコールそのものに血管拡張作用があり、片頭痛患者さんの30〜40%がアルコールを誘因として自覚しています。
赤ワインだけでなく、ビール・日本酒・焼酎・ウイスキーなど、種類を問わず頭痛を引き起こすことがあります。「飲み会の翌日が必ずつらい」という方は要注意です。
④亜硝酸塩
亜硝酸塩は加工肉の発色や保存に使われる食品添加物で、体内で一酸化窒素に変換され血管を拡張させます。
身近な食品例:ハム、ソーセージ、ベーコン、コンビーフ、ウインナー
朝食でハムやソーセージを毎日食べる方、お弁当にウインナーが入っている方など、習慣的に摂取している場合は意識してみてください。
⑤グルタミン酸ナトリウム——うま味調味料
グルタミン酸ナトリウムは、一部の方で「中華料理症候群」と呼ばれる頭痛を引き起こすことがあります。
身近な食品例:ラーメン(特にスープ)、中華料理、インスタント食品、スナック菓子、市販の和風だし
「ラーメンを食べた後に頭痛がする」「インスタント食品の翌日に体調が悪い」という方は、調味料との関係を疑ってみてください。
⑥カフェイン——適量は味方、過剰や離脱は敵
カフェインは少量なら血管収縮作用があり、市販の鎮痛薬にも含まれているほど。しかし摂りすぎると逆に頭痛の原因になることもあります。
身近な飲み物:コーヒー、紅茶、緑茶、エナジードリンク、コーラ
コーヒーなどを日常的に飲む習慣のある方は、飲む量が増えていないか確認してみてください。
⑦空腹
「忙しくて昼食を抜いた」「朝ごはんを食べずに出かけた」——こうした空腹も、見落とされがちな頭痛のトリガーです。血糖値が下がると脳が過敏になり、頭痛発作を起こしやすくなります。
大切なのは「重なり」と「個人差」
ここで重要なのは、食物単独だけで発作を引き起こすことは少なく、2つ以上のトリガーが重なったときに起こりやすいということです。
たとえば
- ストレスが強い日に赤ワインを飲む
- 寝不足の翌日にラーメンを食べる
- 月経前にチョコレートを食べる
このような「重なり」が、発作のきっかけになります。
また、「チョコレートやチーズが片頭痛のトリガー」と認識している患者さんは半数以上にのぼる一方、実際にこれらの食品で頭痛が起きた経験がある方は10%前後にとどまるという報告もあります。
一律にこれらの食品を避ける必要はないのです。過度な食事制限は、生活の楽しみを奪い、それ自体がストレスとなって頭痛を悪化させることもあります。ご自身の食事と頭痛の関連を思い返し、心当たりがある食べ物から避けるようにしてみてください。
食事管理だけでは限界があります
トリガー食品を避けるだけで発作を完全になくすのは、実際には難しいことが多いものです。月に何度も発作が起きる方や、生活への支障が大きい方は、専門医による治療を組み合わせることで、より効果的にコントロールできます。
「食べたいものを我慢しているのに、頭痛が減らない」と感じている方こそ、ぜひ一度ご相談ください。あなたの食事と頭痛の関係を一緒に整理し、薬物治療も含めた最適な計画を提案します。
当院は、食事を含む生活習慣の見直しから最新の片頭痛治療まで、総合的に対応しています。お気軽にご相談ください。