このコラムでは脳神経内科専門医が体調や健康に関する情報をわかりやすくお伝えします。 今回お伝えするのは「片頭痛と睡眠の関連」です。
「寝不足の翌日は、決まって頭が痛い」——睡眠と片頭痛の意外な関係
「昨夜あまり眠れなかったから、今日はまた頭痛だ……」その連鎖、医学的にきちんと説明がつきます。
片頭痛患者さんの約半数が、睡眠の問題を抱えている
片頭痛と睡眠には、深い関係があります。「寝不足だと頭痛になる」だけでなく、「頭痛のせいで眠れない」「夜中に痛みで目が覚める」——互いに悪影響を及ぼし合うのです。
実際、片頭痛患者さんを対象とした調査では、約半数が睡眠障害を抱えていると報告されています。寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝起きても疲れが残る——こうした症状に心当たりがある方は少なくないはずです。
さらに研究では、睡眠時間が6時間以下の方は、6〜8時間眠れている方に比べて片頭痛の頻度や強さが有意に高いことが報告されています。「寝不足→頭痛→また眠れない」という悪循環は、放置すると慢性化につながりかねません。睡眠の質も重要ですが、まずは睡眠時間をしっかりと確保することが重要です。
なぜ寝不足で頭痛が起きるのか
脳の中で「睡眠と覚醒を調節する経路」と「痛みを伝える経路」は、一部が重なっていることがわかっています。このため睡眠の質や量が乱れると、痛みに対する感じ方そのものが過敏になりやすいのです。
睡眠不足は脳内のセロトニンの分泌を低下させます。セロトニンは血管の収縮・拡張や痛みの調節に深く関わっており、これが乱れることで脳の血管が過剰に拡張して三叉神経を刺激し、片頭痛発作が引き起こされると考えられています。
「寝すぎ」も頭痛の引き金になる
経験のある方もいらっしゃるかもしれませんが、寝すぎも片頭痛の誘因になります。
長時間の睡眠は副交感神経を優位にし、血管を拡張させやすくします。「休日にたっぷり眠ったのに、起きたら頭が痛い」——これはまさに寝すぎによる片頭痛で、患者さんからもよく聞くお話です。
片頭痛にとって理想的な睡眠は、1日7時間程度を、毎日できるだけ同じ時刻に取ることです。週末だけ大幅に寝坊するいわゆる「寝だめ」は、生体リズムを乱して休日や月曜の朝の頭痛を引き起こします。
睡眠の問題が「慢性化」を招く
「最近、頭痛の回数が増えてきた気がする」と感じている方は、ご自身の睡眠の状態を一度見直してみてください。
また、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が、片頭痛を悪化させているケースも少なくありません。「いびきが激しい」「朝起きた時点で頭が重い」という方は、睡眠そのものの評価が必要かもしれません。
睡眠を整えることが、片頭痛改善の近道に
睡眠と片頭痛は、改善も悪化も「お互いを巻き込みながら」起こります。だからこそ、睡眠を整えることは頭痛改善の大きな一歩です。
今日から始められること:
- 毎日同じ時刻に寝て、起きる(休日も大きくずらさない)
- 就寝前のスマートフォン・パソコン操作を控える
- カフェインは夕方以降を避ける
睡眠を確保するために、1日の行動をスケジュールすることも必要です。
ただし、生活習慣の改善だけで解決できるとは限りません。月に何度も発作がある方、睡眠障害が続いている方は、予防薬を含めた専門的な治療と組み合わせることで、より効果的に改善できます。
「寝不足のたびに頭痛で寝込んでしまう」「眠れない日が続いて頭痛も増えてきた」——こうした状況は、適切な治療で確実に変えられます。睡眠の悩みも頭痛の悩みも、まとめてご相談ください。
当院の脳神経内科では、片頭痛の予防療法から睡眠との関連を踏まえた包括的な治療まで対応しています。頭痛と睡眠でお困りの方も、お気軽にご相談ください。