片頭痛と月経について|一宮市の脳神経内科|あたまと内科のうえだクリニック

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片頭痛と月経について

このコラムでは脳神経内科専門医が体調や健康に関する情報をわかりやすくお伝えします。
今回お伝えするのは「片頭痛と月経の関連」です。

「毎月この時期だけ、決まってひどい頭痛がする」——それは月経関連片頭痛かもしれません


「生理前後に必ず頭痛が起きる」——女性の片頭痛患者さんの約半数が、この経験をしているといわれています。

 

片頭痛は、女性に多い病気

片頭痛の有病率はもっとも高くなる30歳代と40歳代の女性では約20%にもなります。その背景にあるのが、女性ホルモン、特にエストロゲンの存在です。

エストロゲンは月経周期によって大きく変動し、脳内のセロトニンやCGRP(片頭痛に関わる物質)のバランスを乱します。その結果、血管の拡張や神経の炎症が起こり、片頭痛発作が引き起こされるのです。


妊娠中はエストロゲンが高い状態で安定するため片頭痛が軽くなり、出産後にホルモンが低下すると再発しやすくなります。「妊娠中は調子が良かったのに、出産後はまた頭痛がつらい」という女性も少なくありません。これも、ホルモンと片頭痛の深いつながりを示す現象です。

 

「月経関連片頭痛」の特徴

月経が始まる2日前から月経3日目までの間に発生する片頭痛を、「月経関連片頭痛」と呼びます。この時期の片頭痛には、

  • 痛みが強く、長く続く(最大3日間続くことも)
  • 一度治まっても再発しやすい
  • 市販の鎮痛薬が効きにくい
  • 吐き気・光や音への過敏など随伴症状が強い

といった特徴があります。


「毎月この時期だけ仕事を休んでしまう」「生理痛だと思って我慢していたら、頭痛のほうが本当の原因だった」——そんな女性は決して珍しくありません。月経関連片頭痛は、一般的な生理痛とは別の病態であり、適切な治療が必要です。

 

治療で、毎月の「つらい時期」は変えられる

月経関連片頭痛は「治りにくい頭痛」と長年言われてきましたが、今は適切な治療で大きく改善できる病気です。

  • 急性期治療(発作が起きたときの治療)

  月経関連片頭痛にもトリプタン系薬剤が推奨されています。「市販薬では全然効かなかったのに、こんなに楽になるなんて」と驚かれる方も多くいます。生理痛に関わるプロスタグランジンにも対応するた め、ロキソプロフェンなどとの併用が有効なこともあります。


  • 短期予防(月経時期だけ薬を使う方法)

  発作が起きやすい月経前数日からトリプタン系薬剤や内服予防薬を服用する方法があります。周期が比較的規則的な方には特に有効で、「あの数日が来るのが怖い」という不安そのものを軽減できます。

  • 予防療法(発作全体の頻度を減らす)

  月経以外の時期にも頭痛がある方や、症状が特に重い方には、予防治療、特にCGRP関連抗体薬などの新しい予防薬が選択肢になります。

 

ライフステージに応じた治療を

月経関連片頭痛は、妊娠・出産・授乳・更年期など、女性のライフステージで大きく変化します。妊娠中・授乳中は使える薬が限られるため、その時々の状況に合わせた治療を専門医と相談することが大切です。


また、生理痛のために低用量ピルを検討している方にぜひ知っておいてほしいことがあります。「前兆のある片頭痛」——視野にキラキラした光やギザギザしたものが見える症状を伴う方は、エストロゲンを含むピルで血栓症のリスクが高まるため、原則として使えません。婦人科を受診する際は、頭痛の症状を必ず正確に伝えてください。

 

「毎月のことだから仕方ない」と諦めないで

「生理のたびに寝込んでしまう」「毎月この時期がくるのが憂鬱」——その状況は、適切な治療で変えられるかもしれません。

我慢することが当たり前になっている女性ほど、治療を受けたあとに「もっと早く相談すればよかった」とおっしゃいます。月経と頭痛のことで気になることがあれば、ぜひ一度、脳神経内科にご相談ください。

 

当院では、女性のライフステージに合わせた片頭痛治療に対応しています。月経に関連した頭痛でお悩みの方も、安心してご相談ください。